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コーチングに「判断」は必要ない!

「判断」は自由な思考の流れを妨げる落石である


川の流れをせき止める落石
「判断」は自由な思考の流れを妨げる落石のよう

コーチ・トレーニングを始めたばかりの頃、私が最も苦労したレッスンのひとつが、「判断」を伴わないコーチングです。私は、人事コンサルタントとして、評価システムを作ることを仕事とし、また、トレーナーとして、参加者のリーダーシップの可能性を評価することを求められてきました。プロフェッショナルとして、「判断」する役割を担ってきたのです。


コンサルティング、トレーニング、ファシリテーション、そしてコーチングというモダリティの間には、確かに重なる部分もありますが、エグゼクティブ・コーチが越えてはならない明確な一線があります —— 「判断を下す」という一線です。


最近、少人数のグループで「MY PURPOSE」コーチング・セッションを行いました。セッションの最後に、参加者にセッションに関するコメントを求めました。私が受け取ったコメントの一つは、次のとおりです。


「セッションは非常に役立った。自由に話し、創造的に考えることができた。自分が判断されていると感じることはなかった。」


今回は、コーチングにおいて、「判断しない」ことが、どうして効果的であるのかを説明したいと思います。


コーチングで超えてはならない「判断」のラインとは?


まず、いくつかの定義を明確にしましょう。


メリアム・ウェブスター辞典によると「判断」の定義は、「識別および比較によって意見や評価を形成するプロセス」とあります。


参考URL Merriam-Webster dictionary "judgment"


「アドバイス」は、「決定や行動の方針に関する推奨」とあります。


参考URL Merriam-Webster dictionary "advice"


「アドバイスをする」と「判断する」とはまったく同じではありませんが、ここでは、自分自身の善悪の感覚や過去の経験に基づいて、他人がどのように生きるべきかについて明確に意見を述べる行為を表す言葉として、この言葉を使い分けることにします。


「それがあなたがすべきことです。」


「私はあなたが…すべきだと思います。」


「それは良い考えです。」「それは良い考えではありません。」


これらは、他者との会話の中で誰もが一度は口にしたことのある表現だと思います。しかし、このような表現は、ほとんどの場合、コーチングの会話では歓迎されません。



なぜコーチは「判断」してはいけないのか?


「判断」は、コーチと受講者の関係を変えてしまいます。コーチは受講者の「上」にいるのではありません。コーチと受講者は、コーチングの関係において対等で、受講者の利益のためにアイデアを探求しているのです。さらに、コーチがコーチとしてその場にいるのは、その分野での特別な経験があるからではなく、コーチングの方法論の訓練を受けているからなのです。



コーチはアイデアや洞察力でサポートするのではないか?


積み重ねた本と考える人
外と内からの学び

学びには2つの方向があります ——「外からの学び」と「内からの学び」です


外からの学びは、他者の知識や知恵を吸収することから生まれ、内からの学びは、内省し、より効果的な行動に向けて自分自身の感情や思考を再編成することから生まれます。


コーチは主に内からの学びをサポートするのに有効です。(コーチは受講者に本や記事を読むように勧めるかもしれませんが、これは付随的なことであり、コーチの本質的な活動ではありません。)


判断するということは、「内からの学び」のために準備された空間で、「外からの学び」の視点を提供することです。



コーチは自分の意見やアイデアを出してはいけない?


必ずしもそうではありません。実際、コーチは直感を働かせ、時にはその場で考えていることを口に出すことが奨励されています。 コーチの考えが受講者にとって衝撃的である場合もあります。しかし、コーチがそのアイデアに「執着しない」という注意書きがあれば、これはコーチングのルールの中では許容されることなのです。


アイデアは、受講者の検討のために提供されます。そのアイデアは受講者の心に留まるかもしれないし、「いや、それは私が必要としているものではない。私が必要だと思うのは... 」と答えるかもしれません。


このように、コーチの考えは、受講者の考えを深め、明確にするために提供されるのです。 もしコーチが自分の見方を正当化するために反論してきたとしたら、そのコーチはもはやコーチではありません。コーチングをしているのではなく、アドバイスや判断を下そうとしているのです。



受講者がコーチからのアドバイスや洞察を求めたら?


この場合、2つの選択肢があります。


まず、コーチは会話を少しそらし、コーチと一緒にアイデアを出すブレーンストーミングの時間にします。


あるいは、一時的にコーチングハットを脱ぎ、意見や判断を提供するのです。ただし、これは、コーチングの会話の流れに妨げが生じる可能性があるため、セッションの最後まで控えたほうがよいかもしれません。そして、その時には、コーチのアドバイスはもはや必要でも適切でもなくなっているかもしれません。



「判断しない」ための最良の方法は、子どものような好奇心を持って対応すること


椅子に座って会話をする二人の人
「子供のような好奇心で」

コーチングセッションの流れは、コーチが興味深く応答することで最も維持されます。普段の会話では、ある人が信じられないと答えたり、にやにやしたり、聞き手の判断を表面に出すような反応をすることがありますが、コーチは好奇心旺盛な質問をするでしょう。


「なぜそう言うのですか?」


「その考え方には何がありますか?」


コーチングとは、受講者の思考の層を深め、広げていくことです。 判断は思考の流れの中にある落石のようなものなのです。


「判断」を持たないことは、良いコーチングの基本です。日常の「じゃあ、どうしたらいいと思う?」という会話に比べ、非判断的なコーチングセッションは、受講者の自己理解を深め、次のステップを踏む自信を与えます。


このことが意味するところは、コーチという役柄は、すべてを相対的にとらえ、「判断」のない人生に縛られることなのでしょうか?最近は、マネージャーにコーチ的な役割が期待されています。ではマネージャーは、部下を判断/評価すべきではないということでしょうか?



実社会での「判断」


コーチングは非判断的であるべきだと強調してきましたが、実社会においては、判断の役割を理解することも重要です。特にコーチのような役割を期待されているマネージャーにとってはなおさらです。


非判断的であるということは、コーチを受ける人に自分の意見や価値観を押し付けないことを意味します。それは、判断が無関係であるとか、あらゆる状況において完全に避けるべきだという意味ではありません。実際、判断は生活や仕事のさまざまな場面で意思決定や評価において重要な役割を果たしています。


マネージャーにとって、判断を下すスキルは不可欠です。部下のパフォーマンスを評価し、昇進やキャリアを決め、チームの仕事の出来を評価する必要があります。ただし、判断を共感と理解とのバランスで行使することです。


コーチの役割を担ったマネージャーは、パフォーマンスを評価しフィードバックをするために判断を下しますが、それは批判ではなく成長と発展を促す方法で行うべきです。単に判断を下すのではなく、自分のパフォーマンスを振り返り、改善すべき点を特定するのを手助けするためにオープンエンドの質問をします。


そして、自分の考えを押し付けることなく、解決策に導くために「判断」を使うのです。考えさせる質問をしたり、批評的に考えるよう促したりすることで、問題解決能力を身につけ、自分の仕事に主体性を持てるようサポートしていくのです。



おわりに


判断はリーダーシップや意思決定において判断力は重要な側面ですが、特にコーチングやメンタリングの関係では、慎重に行使する必要があります。


コーチのようなアプローチは共感、好奇心、協力を重視し、「判断」ではなく指導を受けながら、個人が自分の考えや解決策を模索できるようにするのです。


 

筆者:ブライアン・シャーマン  執筆日:2024年1月14日

当記事は、2024年1月14日に英語で公開された「There’s no judgment in coaching! In coaching, the judgment of the coach is like a fallen rock blocking up the free flow of thought」の日本語版です。

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